2023年07月09日
飛距離計測:SV&マグZ&ブースト
前回の
2023/06/27:ダイワSVブースト徹底解説
に続き、ダイワベイトリールのSV、SVブースト、マグZ、マグZブーストスプールの投げ比べ&飛距離計測を行ってみました。
前回の記事で各スプールの理論的な特性を数値から確認出来たので、今回は実践的な検証です。
百聞は一見にしかず。で動画にしました。
所感としては、やはりSVブーストは相当ピーキー。
使用したシンカーが自作21.3gなので、SVブーストには荷が重いのかもしれませんが、それにしたってブレーキ10でもかなりバックラッシュします。
ブレーキ11で7~8割キャストが成立、フルキャスト安定はブレーキ12まであげないと無理でした。
当日のコンディションが追い風8~9m/sでかなり爆風だったのが逆にラインテンションがかからず、SVブーストの強いバネが戻った瞬間、スプールの回転放出に追いつかなかった可能性もあるかもです。
前回の記事からSVブーストの強いバネが戻った後、SVに比べブレーキ抵抗が75%くらいに下がるのは間違いないわけですが、実践感覚では50%以下な感じです。
ただ強いバネが戻った直後のバックラッシュさえ防げれば、SVブーストは後半の伸びがあるのですごく飛びます。
今回の計測に使った基本装備は以下の通りです。
ロッド:17Silverado762ML(公式リンク)
リール:17スティーズA
スプール径:34mm
シンカー:自作21.3g + 目印用リボン
計測機器:デジタルデプスチェッカー(アマゾンリンク)
今回は基本的にチニング装備ですが、シンカーは普通のチニングに比べると相当重めになっています。
またロッドのシルベラード762MLは穂先5cmほど折れたのを補修したので、実際は752MLといったところ。
公式には背負える重さが3~16gとなっていますが、シンカーなら20gオーバーも動画の通りフルキャスト出来ます。
各スプールの解説&所感。
SVスプール
私がチニングや普通のシーバスで使っているのがSVスプールで、釣行時期や釣り方によってPEを変えています。
今の時期はエイが多すぎて高いラインはもったいないので、安いダイソーPEを使用。
ダイソーPEは「良いPE」と比べて太いので、飛距離計測には向いていません。
今回使用したのはPE1.0号ですが、感覚的にはPE1.5号くらいの太さがあり、今回の計測ではだいぶ飛距離が落ちていると思います。
「良いPE」なら+10mくらいイケてるんじゃないかなぁ?というのが正直な感想で、かなりハンデがあると思ってOKです。
SVスプールは非常に素直なスプールですが、私の感覚では15gくらいまでがスペック上限だと思います。
なので今回の21.3gはスペックオーバーな感じがありますが、それでも十分使えます。
素直なので、ブレーキセッティングさえ間違わなければバックラッシュも起きづらい優秀なスプールです。
飛行中にスプール周辺のラインがちょっと暴れて親指にピチピチ当たる場合、稀にバックラッシュするギリギリの設定となります。
今回のブレーキ4はこの設定で、3にするとフルキャストは高確率でバックラッシュします。
SVスプールはSVブーストと比べると後半の失速感があります。
そのため初速でどれだけ稼げるかが飛距離に直結します。
SVブーストスプール
前回の記事の計測データからもピーキーなのはわかっていますが、何度使ってもやっぱりピーキーです。
SVブーストの強いバネは測定データから速攻戻るのは間違いなく、戻った瞬間が最大の難関となります。
一般的なルアーの場合は空気抵抗が強いのでこの動画ほどバックラッシュしないと思いますが、シンカーやメタルジグの場合、初速や空気抵抗の低さからSVブーストでは15gくらいが扱える上限な感じがします。
逆に強いバネが戻った直後さえ乗り切れば、後半の伸びは他のスプールに比べてもダントツです。
あくまで今回の計測方法にSVブーストがマッチしていなかっただけで、普通のハードプラグやもっと軽いシンカーなら、たぶんSVブーストが最高もアベレージも頭一つ抜き出ていたのではなかろうか。
でもなぁ、個人的にはSVブーストの強いバネ(200~240g)が強すぎるので、強いバネはマグZのバネ(35~120g)くらいのを入れてほしい。
マグZスプール
ダイソーPE 1.5号なのでハンデはあるものの、かなり健闘したと言える。
「良いPE」ならマグZブーストと張り合えるほどイケた感じもあります。
使用感は良くも悪くもなく普通で、ちょっと粘っこく失速感があります。
軽量ルアーはSVスプールには負けますが、20g以上の重量ルアーならマグZスプールの真価を発揮と言ったところ。
今回計測した21.3gシンカーだと私はSVスプールを使いますが、これが25~30gになったらマグZスプールを使います。
ちょっと余談になりますが、マグZ&マグZブーストと、SV&SVブーストはベアリングサイズが違います。
マグZ&マグZブーストの方がベアリング径が大きく、SV&SVブーストに比べると回転が渋いです。
その分耐久性や慣性が効きやすいという特性があるんですが、ベイトリールのスプールサイズくらいだとSV&SVブーストの小径ベアリング&カラーの方がガンガン回るので個人的には好みです。
なおHLCもSV&SVブーストと同様のベアリングになっているので、HLCがピーキーと言われるのはインダクトローターだけではなく、良く回るベアリングも理由の一つです。
マグZブーストスプール
今回の計測で個人的に一番好みだったのが、マグZブーストです。
使っていて飛距離、安定感ともに抜群で、PE1.5号でも気持ちよく飛んで優秀でした。
ブーストの強いバネ、弱いバネもそれぞれギリギリではない安全マージンを残したフィーリング。
SV->SVブーストがかなりピーキーになったのとは違い、マグZ->マグZブーストは気持ち良い正当進化と言えます。
シーバスで使うならオススメなスプールです。
今回の計測はダイワベイトリールとしては割と意地悪なラインで、SV&SVブーストには重たく、マグZ&マグZブーストにはちょっと軽い、絶妙な重量とも言えます。
SVブーストにはコンディション的にも厳しい結果でしたが、前回の記事からの計測データと合わせて、面白い実戦データが取れたと思います。
SVブーストに関しては今回で一旦終了になりますが、シマノのベイトと比べてどっちが飛ぶの?とかの実験はやってみたいなー。