2020年02月29日
すなどりくん2プロジェクト始動
去年ちょろっと販売しました「自走式ルアー回収機すなどりくん」
これをゼロベースからガチで作ろう!と思ったのが2019年中頃。
実はすなどりくんも当初はガチの自作で制作を開始したんですが、当時の私の技術では無理でして…。
結果としてタミヤの水中モーターを利用する形になりました。
今回は完全ゼロベースから再チャレンジしてやるぜ!というか、そのために3DプリンターのAdventurer3を買ったと言っても過言ではないのです(ほんと)。
なわけでFusion360でモデリング。
もう形になっていますが、ここまで来るのにアレコレやったり、寄り道したり、中断したり、素材集めなんかで数ヶ月…。
実作業(モデリング)自体はそんなかかっていないんですが、実現可能な範囲で考えながら&素材集めながらとなると、やっぱりすんげー時間がかかる。
すなどりくん1の「ここはもうちょっとなんとかした方が良い」という部分を徹底的に改善するため、大きく3つの仕様変更を予定しています。
その1はギア比。
すなどりくん1はタミヤ水中モーターを使用しているため、130モーター(いわゆるミニ四駆のモーター)からそのままプロペラへとなります。
そのため1.5Vアルカリ電池では電圧が足りず、出力を補うためにリチウム電池14500で3.7~4.2Vで強引にぶん回していました。
水圧がかかる状況ではモーターに過負荷がかかりやすく、ちょっと壊れやすいかなぁーと。
そこでギア比を変えてトルクをあげたい。
正直どれくらいのギア比が最適かは全く不明。
おまけにここを修正しようとするとボディ設計からガラッと変わってしまうため、出来れば問題ない程度で動いて欲しい…。
その2はスタンチューブ。
船とか潜水艦というのは、プロペラシャフトから船内への浸水を防ぐために「スタンチューブ」という構造を用いているみたいです。
シャフトを多少長くとって、シャフトの外殻にパイプ状の壁を設け、そのパイプ内をグリスで満たすというもの。
水中ラジコン用のスタンチューブを買おうとすると1500円は余裕で超えてしまうので、コストを考えて「スタンチューブもどき」的なものを設計。
またベアリングでの保持やガスケットなんかもコストバカ高どころじゃ済まないので、それっぽいアルミスペーサーなんかで代用。
若干硬めのデュラグリスなど、耐水性が高いの使えば大丈夫じゃないか?ということで。
その3はボディのネジ止め式&Oリング。
すなどりくん1の浸水の原因はモーター軸からとボディのつなぎ目から。
特に水圧がかかる水深になると、タミヤ水中モーターの単3タイプはボディがはめ込め式なので浸水は結構シビア。
これをネジ止め式にして、なおかつOリングで防水性能をあげてやろうと。
ふなさんがアクティブエイガードでも使っている中華の電気ウキ(水中集魚灯)と似たような設計にしてみました。
その他にもスタビライザーフィンや配線周りなどなど、悩ましい問題もたくさんありましたが、ひとまずモデリングが出来ました。
本当は金型を発注して射出成形で製品化だ!とか絵空事を考えていたんですが、射出成形を考えたボディ設計をしてみたら、サイズがめちゃくちゃでかくなってしまい…。
うん、これはダメだ。ひとまず3Dプリンターで出力して作ってみて、出来が良ければその後シュリンクも考えよう…と切り替え。
とは言っても、うちのAdventurer3はFDM機なので、CNCほどではないけど出力するには色々お約束があります。
このボディを出力するのに20時間ほどかけたものの「うーん、ここはまずいなー」という部分が散見。
アレコレ修正をかけます。
でも一度リアルワールドに出力してみると、ディスプレイ内ではわからなかった部分が手に取るようにわかるので、3Dプリンターはものづくりにおいて超有効。
修正してもまだまだ甘い部分が。
ぶっ壊してチェックして再修正。
なんとか形になりました。
スタンチューブは抜きにして防水性能をチェックしてみたところ、現時点では問題なさげ。
Oリングは無事機能しておりました。
重心の調整は必要そうだけど、中身なしでのボディバランスは悪くない感じ。
3Dプリンターの出力で結構大変なのがネジ。
なんでもそうなんだけど「公差」というものがあり、例えば10mmの穴に10mmの棒は入りません。
だいたい10.1mmの穴に9.95mmの棒が入る感じで、このびみょーーーーな誤差(公差)がピッタリさせるには重要なんです。
これをFDMタイプの3Dプリンターでやるには、その機種の特性を理解する必要があります。
このネジはJISやISO規格のM3とかM4とかのミリネジではなく、Fusion360のコイルを使ったオリジナルサイズ。
ピッチと断面サイズを調整してやれば、かなり良い感じにピッタリいけます。
電源のON/OFFもかなり悩んだ部分。
ボタン式も考えたものの、防水性能が確実に落ちるため、ボディのネジ止め部分にスイッチの役割も持たせることに。
すなどりくん1ではこのスイッチでのスパークで端子が焼けて接触不良を起こしやすいので、なるべくスパークさせる可能性がある端子の接続はやりたくなかったんだけど…。
3Dプリンターで作ったモーターマウントにCNCでアルミ削り出しの配線端子を合体。
厚1mmのアルミに0.5mmのドリルで穴を開けて、そこに0.55mmの銅線をちょっとヤスって突っ込んで曲げてます。
かなり細かく精度が必要なので、正直あんまり作りたくない…。
今回はここまで。
うまく動けばもうちょっとでテストに入れそうだけど、ダメそうならボディの再設計が必要に。
こうなると数ヶ月スパンになってしまう(;´Д`)
でも個人でこんなものを設計&製造出来るってのは、3Dプリンターだからこそです。
ものづくりの世界においては、3Dプリンターはほんと革命的ですよ!
この記事へのコメント
こういった設計は各部品をモデリングしてからジョイントで合体?させているのですか?
Posted by えべす屋 at 2020年02月29日 19:53
>えべす屋さん
ジョイントも一部使っていますが、これくらいのパーツ点数&動かす必要がないものでは、そのままスケッチをガシガシ作って各々のパーツごとにモデリングしています。
ある程度のパーツ単位でコンポーネントに分けた方が効率が良いと思いますが、これくらいなら1つのコンポーネントだけでもいけます。
ジョイントも一部使っていますが、これくらいのパーツ点数&動かす必要がないものでは、そのままスケッチをガシガシ作って各々のパーツごとにモデリングしています。
ある程度のパーツ単位でコンポーネントに分けた方が効率が良いと思いますが、これくらいなら1つのコンポーネントだけでもいけます。
Posted by さ at 2020年02月29日 20:08
なるほど、参考になります。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
Posted by えべす屋 at 2020年03月02日 23:13