2017年06月16日
【70%OFF】コロンビア ウェーディングジャケット

コロンビアのウェーディングジャケットコップルストーンが70%OFFで投げ売りだったので買ってみました。
今までは中華のカヤック用パドリングジャケットなセミセミドライトップ的なものを使っていました。
2014/11/11
なまじ生地がそこそこ強いため、浸水した水が外に抜ける事がなく、主に左腕の中は水が溜まってしまう事態に。
色々やってみたもののピンホールの数が多く、さらに3レイヤーが邪魔して内部からの補修は無理と判断。
なわけで、コロンビアのが70%OFFなら損はないでしょ。と買ってみました。
コロンビアのサイトにも既にペーシが見当たらない程で、どうも2012年くらいの商品みたいです。
コロンビア自体にも在庫がほとんどなく、酒々井のアウトレットモールにしかない。という話も聞きました。
あんま売れなかったんだろうなぁー(;´∀`)
3回ほど実戦投入してみたので、私なりのインプレ&解説をしたいと思います。

まずセンターチャック。
ソルトウェーディング用として売っているジャケットは、今だとほぼ防水ファスナーになっています。
このコロンビアのウェーディングジャケットはプラスチックファスナー+前面をマジックテープでガードする形。
防水ファスナーは水の侵入をかなり防ぐので良いんですが、ずーーーと使ってると塩ガミなんかで動きがめっちゃ渋くなりやすい。
ウェーディングジャケットは完全防止というわけではなく、うねりなどで波を被った時の水の侵入を防げればいいので、これはこれでありかと思います。
また上下どちらからでも開ける事が出来るダブルファスナーで、干す時などは上だけちょこっと閉じるなんてことも可能。
前面のマジックテープは4点あり、加工面倒だろうになー。と細部にこだわった感じが見受けられます。

内側にはこんな感じのナイロンベルトが左下から首筋のタグにかけて通っています。
これはジャケットを脱いだ際、このベルトに左肩を通すとジャケットを肩掛け状態でキープし、落とす事がないようにという機能。
主にトイレ用の機能ですかね(;´∀`)

縫い目のシームテープはかなりしっかりしています。
生地自体はコロンビア独自の2.5レイヤーなオムニテックという透湿生地みたいで結構厚め。
冬場暖かいか?と言われると微妙ですが、春先に一枚上に着るくらいだとちょうどいいくらいの厚さです。
夏場だと暑いですね。

フードにも特徴があります。

首筋の左右はゴムとストッパーで絞り込めるようになっています。
生地を保護するハトメがプラスチックなのはGOOD。
水抜き用のハトメなんかも全部プラスチックになっていて、鉄だと錆びるので設計者は良くわかっています( ´∀`)

前面のオデコ付近は若干硬い芯が入っており、さらに帽子のキャップに固定するためのクリップが付いています。
振り向いた時にフードとキャップが連動するようにするためだとか。
またフード後ろにマジックテープがあり、若干の大きさ変更が出来るようになっています。

フードを使わない時は折りたたんで収納出来ます。
マジックテープがあるので、結構ピタッと収納出来ます。
私はウェーディング時、フローティングベストの背中Dカンにタモをぶら下げるため、フードが収納出来るのは大変便利。
フードが結構邪魔になるんですよねー。

腕にも色々な機能があります。
まずはインナーカフというもの。
こんな感じで、指以外すっぽりカバー出来ます。
私は釣りではオールシーズン必ずグローブをするんですが、手首が出てしまうのが結構気になるタイプでして。
個人的には大変嬉しい機能です。

もちろん取り外し出来ます。
ボタンでの着脱なんですが、取り付け時に間違わないように1つだけボタンの色が違います。
左右でもボタンの色が違うので、間違うことがありません。
設計者、ほんとよく考えています。

インナーカフなしだとこんな感じ。
袖口はネオプレーンのガスケットなどはないため、水の侵入を許してしまいますが、マジックテープで袖口がバタつかないような処理はされています。
2重袖口で内側はネオプレーン、外側はコレだとパーフェクトだったんだけどなー。

腕にはもうひとつ特徴が。
このタイプのウェーディングジャケット、レインジャケットでは大変珍しい、袖の取り外しが可能。

内部にファスナーがあり、ぐるーーーと一周すると…。

こんな感じで取り外し出来ます。
ただこれも防水ファスナーではないため、水の侵入は許してしまいます。
またこのファスナーは金属っぽいので錆びてしまうかも。
この袖を取り外すとノースリーブとTシャツの中間くらいの長さでかなり短いです。
さらに袖口がかなり広いため、ディープウェーディング時にコレをやると、うねっている時はここから波の侵入を許してしまうかも。
ただ大変涼しくなるので、夏場なんかは便利そうです。

ウェーディングジャケットは他のレインジャケットなどに比べると丈が短く、つんつるてんな感じが基本なんですが、このコロンビアのウェーディングジャケットはその中でもかなり短い方だと思います。
私が普段使用しているマズメのレッドムーンライフジャケットIVの腰ベルトより上の位置に丈がくるので、ディープで浸からないとウェーディングジャケット自体が浸かる事はないくらいです。
ここもゴムで絞れるようになっており、水の侵入を若干和らげてくれると思います。
ネオプレーンなどのガスケットとかではないので、気持ち程度ですが。

その他の機能として、左胸にマジックテープがありまして(これはオス側を取り外した状態です)。

内側の右脇腹あたりにこんな感じのループナイロンベルトがあります。
上記のマジックテープとこのナイロンベルトにロッドを通すとロッドホルダーになる。ということですが、ソルトのフローティングベストを着用するウェーディングでは100%使用することはありません。むしろ邪魔かなぁー(;´∀`)

左右の胸にはファスナー付きポケットがあり、ファスナーはマジックテープありの布で守られています。
このファスナーは金属かなぁ。錆びそうです。
ポケット底にはプラスチックでのハトメ処理された水抜き用穴が開いてあり、多少濡れてもいいかも。程度のものを入れられるようになっています。
右胸にはDカンがあるので、なにかをホールドする事も出来ます。
その他では、全体的にサイズが大きめです。
普段Mでちょうど良いけど、着込むこと考えてL買ってます。って方でもMで十分大きめです。
私はウェーディング用品は1~2サイズ大きめのを買ってますが、今回に関しては1サイズ小さくてもよかったかもくらい。
トータル的に考えるとソルト用ウェーディングジャケットというより、淡水でのフライやトラウト用ウェーディングジャケットって感じです。
でも細部までよく作られており、70%OFFなら損はないですね。
防御力はいままで使っていた中華のパドリングジャケットのが上ですが、ウェーディング用レインジャケットと考えれば、この値段ならかなりお買い得かと思います。
ウェーディングジャケット欲しいかもー。など考えていた方は、選択肢の1つに入れてみるのも良いかと思います。
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2017年04月07日
インプレ:エスクリム99F
唐突にルアーのインプレをしてみたいと思います!
と、この記事をダラダラ下書きしている最中に、お知り合いのTJA_11さんが先行してエスクリム99Fのインプレをアップしていたので、そちらも参考にすると良いかもです。
むしろ使い方に関しては、TJA_11さんのインプレの方が役に立つかと思います。
なので、当ブログでは当ブログらしい目線でエスクリム99Fのインプレッションを書き連ねてみたいと思います。

シマノ エスクリム99F(公式サイト)
今回取り上げるのはシマノ エスクリム99F。
当ブログでも度々釣果報告に登場する信頼と実績の高いルアーです。
エスクリムのインプレをする前に、シマノのルアーの技術について私なりに解説してみます。
AR-C重心移動システム

シマノのサイトより画像引用
まずシマノのルアーと言えば、AR-C重心移動システム。
シーバスルアーは飛距離を重視する傾向が強く、ルアーの飛距離を出す上で重要なのはキャスト時のルアーの飛行姿勢。
ミノーのような形状のルアーで理想的な飛行姿勢は、空気抵抗が最小限で済むようにお尻の方が前になって飛んで行く事。
お尻の方が前になっての飛行姿勢というのは、ルアーの重心がお尻の方に偏っている必要があります。
しかしミノーのような形状のルアーが泳ぐには、重心は出来る限り前(顔のあたり)というのが望ましい。
重心が前にある時の飛行姿勢は、空気抵抗によってルアーが回転してしまう=空気抵抗が強くなり飛ばない。
ということで生まれたのが重心移動システムです。
キャスト時はオモリがお尻方向に移動することにより飛行姿勢が安定し、着水後にオモリが前方向に移動して泳ぐようになる。
この重心移動システムにより、ルアーの飛距離はぐーーーーんと伸びました。
そして重心移動システムに革命的なナイスアイデアを組み込んだのがシマノのAR-C重心移動システムです。
今までの重心移動システムは、オモリとなる鉄やタングステンなどの球をコロコロ転がして重心移動を行っていました。
この場合、ルアーによっては着水時にトゥイッチやジャークなどロッド操作を入れて、オモリを前方向にしっかり移動させる事が必要でした。
シマノはこの重心移動にバネを採用。
キャスト時は遠心力でバネが縮んでウェイトがお尻方向に移動、その後はバネの力で勝手にウェイトが前に戻り、着水直後から固定重心のような感覚で泳ぎ出す。
さらにオモリを円柱形状にすることで球状よりオモリの密度上がり、より泳ぎが良くなる。
機構としては簡単ですが、これを真っ先に実現したシマノにはあっぱれです。
AR-Cシェル

シマノのサイトより画像引用
次にエスクリム以降のシマノルアーに多く採用されている、XAR-C(クロスエアールシー)システム。
市販ルアーの多くはABSというプラスチック素材をボディに採用しています。
アクリルより衝撃に強い樹脂ですが、プラスチックには変わりなく若干重たい。
ルアーのボディというのは軽ければ軽いほどよく泳ぎます。
このボディ素材に発泡素材(空気の泡を含んだ素材)を用いたのがAR-Cシェルというもので、AR-CシェルとAR-C重心移動を組み合わせたのがXAR-Cというシステムです。
シマノのルアー開発者のエクスセンスブログによると、現在のAR-Cシェルは3世代目らしく、今回紹介するエスクリム99Fは初期なので1世代目です。
しかし1世代目でも、ABS樹脂と比べてボディ比重は20%ほど軽くなっているようなので、優秀な素材であると言えます。
余談ではありますが、私の自作ルアー含め、多くのハンドメイドルアーで使われているバルサなどの木材は、強度こそABSなどのプラスチックに勝てませんが、浮力(軽さ)では圧倒的に木材の方が優秀です。
その為、木材で作ったルアーをそのまま同じ形状でABSで作っても、同じ泳ぎにはなりません。
泳がなくなったり、木材ではフローティングだったのがABSだとシンキングになったりします。
ボディが軽いということは、それだけ泳ぎが良くなるという事で、ルアーにとって大変重要な事なのです。

前置き長くなりましたが、エスクリム99Fの個人的インプレッション。
まずシマノのルアーと言えば、真っ先に名前が上がるのがサイレントアサシンシリーズでしょう。
元祖ぶっ飛びミノーと言っても過言ではない程、非常に飛びます。
でも正直な所サイレントアサシンは飛ぶだけです。
泳ぎに関してはウォブンロールが激しく、少なくとも東京湾奥の海では高活性時以外では使い物にならないというのが私の意見です。
河川や磯、サーフなどではいいのかも…。
サイレントアサシンが結構ファットなボディ(最大横幅14.6mm)に対し、エスクリムはスリムなボディ形状(最大横幅11.2mm)です。
そして発泡シェルボディにより、レスポンスの高いキビキビした泳ぎを実現しています。
比較的ベイトサイズが小さい、東京湾奥の海ではエスクリム99Fは万能と言えるルアーだと思います。

使い方としてはアクションを掛けて食わせるより、スローに巻き続ける、巻いて止めて…巻いて止めて…みたいな使い方のが釣れます。
スローに巻いてもしっかり泳いでくれるため、流れが変わったところでのイレギュラーなアクションなどが入りやすく、この辺も発泡シェルならではのボディの軽さが影響している感が強いです。
狙い目のレンジは後述の改造Ver.なら15~40cmくらい、ノーマルのままなら40~70cmくらい。
ロッドを下げて巻けばさらに下のレンジも引けるため、浦安の海だとオールマイティに使えます。
昨今の変化球が多いルアーにおいて、直球ど真ん中のルアーと言っても過言ではないでしょう。

さて、私はシマノの回し者じゃないので、メリットばかり上げても仕方ありません。
デメリットも紹介しましょう。
まず設計ミスなんじゃないのかなぁ?AR-C重心移動のバネが強すぎです。
さらに発泡シェルのボディが軽いため風に弱いです。
キャスト飛行中に重心が戻ってる感が強く、風があるときは特にですが、ルアーが回転して失速しやすい。
そもそもエスクリム99Fは9gしかないため、飛距離はあまり期待出来ませんが(オフィシャルアベレージ46m)、それにしたって失速が激しい。
もうひと伸びがありません。
ボディは細身なのにリップは大きめで、わかりやすい泳ぎをしてくれますが、個人的には泳ぎすぎです。
もっと泳ぎを抑えて欲しい。
そしてリップが大きいため水受けが強く、リップ角度も鋭角で浅めのため案外潜ります。
「売る」ということを考えると、アングラーに泳ぎがしっかり伝わるくらいが必要なんでしょう。
でも東京湾奥の海で「釣る」と考えると、これではちょっと派手すぎる。

では浦安DIYシーバスならではとして、エスクリム99Fを改造をしてみましょう。
浦安はシャローゾーンが広いため、そんなに潜らせる必要はありません。
なので、台形型のリップを削っておわん型にし、泳ぎと潜りを抑制します。
この改造で30~80cm潜るデフォルト状態から、15~40cmくらいまでの水深で抑えられます。
泳ぎもロッドにバタバタ伝わる感覚から、ちょんちょんくらいのタイトな泳ぎに変わります。
ちょっと潜りすぎてゴロタに当たるとか、エリ10のスローにしか反応得られない。みたいなシーンで、この改造エスクリム99Fは強さを発揮します。
場面によっては最初から最後まで改造エスクリム99Fで良い。ということさえあります。
特にうねりがあるような場合、リップ付きミノーというのはきっちり水を噛んで泳ぐので、水面を割らずにルアーを引けます。
多少のバッドコンディションでも使いやすいのがミノーの利点です。

うんちくになりますが、潜行水深を抑制したいなら、リップの角度をなるべく垂直(鈍角)に近づけるのが一般的です。
画像の赤いラインの角度のようにすると、潜りづらくなります。
ただ市販ルアーでこの改造を行おうとすると、リップをがんばって削るか、エポキシを盛る必要があり、そこまでやるなら違うルアーを買った方がいいのではないかと。
エスクリムシャローに99mm以下が発売されたら、少なくとも浦安ならそっちがオススメ(;´∀`)

次の改造ポイントとして、フックサイズの変更。
エスクリム99FにはデフォルトでST-46の5号フックが使用されています。
これを1つ小さな6号フックに交換します。
4号、5号フックは大きいため、大型のシーバスに対してフッキングしやすい。という利点はありますが、東京湾奥のシーバスは一部河川や時期を除き、アベレージは45cmくらいです。
シーバスのサイズから考えても、6号フックくらいがベストだと思います。
6号フックだからといって、ランカーがフッキングしないわけでもありません。
また、上記でルアーは軽ければ軽いほどよく泳ぐと触れましたが、フックサイズも大きなウェイトを占めます。
お風呂などで試して見るとよくわかりますが、全く泳いでる感じがないルアーでも、フックを外すと信じられないほどブリブリ泳ぎます。
よりスローに巻いた時に泳がせたい場合、フックサイズを小さくするというのは簡単かつ理に適った改造なのです。
さらにフックサイズを小さくすることにより浮力が増し、より上のレンジを引きやすくなるというのもシャローゾーンが多い浦安周辺では利点です。

AR-C重心移動は確かに優れていますが、キャスト飛行中、着水の最後までウェイトがお尻に残っているというわけではありません。
サイレントアサシンやトライデントはバネ係数が弱いと見られ大丈夫ですが、エスクリム99Fのようにバネ係数が強いと見られるルアーは失速する事があります。
しかし固定重心のように使えるルアーというのは非常にお気軽で頼もしく、風が強く波立っていたり、ランガンしまくるような釣りではロッドアクションによるウェイトボールの移動を気にしなくて良いのは強みです。
低い弾道でラインスラッグを最小限に抑えてキャストすれば、着水直後から立ち上がり抜群のAR-Cの利点を活かし、リアクションバイトが出しやすいのも良いところです。
シマノのルアーは他社と比べると値段設定が若干高めですが、他社にはない技術が詰まっています。
使ったことがない方は是非一度お試しあれー。
【総括】
私が考えるエスクリム99Fのメリット
・細身&軽量ボディで泳ぎの波動が若干弱めの程よいアピール
・AR-Cシェルによる軽量ボディでゆっくり巻いても良い泳ぎ
・AR-C重心移動は固定重心のように扱えてお気楽便利
・良く釣れる
私が考えるエスクリム99Fのデメリット
・AR-C重心移動のバネが強く、重心の戻りが早いため失速しやすい
・値段がちょっと高い(;´∀`)
その他
・浦安の海で使うには、出来ればもうひと回り小さいサイズが欲しいところ
・ノーマル状態では案外潜る
・9gのミノーとしては飛ぶ部類だが、もうひと伸び欲しい
・9gと軽いので投げるならLロッドクラスがベスト。MLだとかなりスカスカなイメージ。
特にナイトゲームでは主力になる一軍ルアーですが、85mmくらいのダウンサイジングなサイズ展開もお願いしたい。
出来ればエスクリムシャロー85Fなんかで欲しいところ。
それでも20cmくらいのセイゴサイズもバシバシ食ってくるので、非常に頼りになるルアーです。
私は釣り場にあまりルアー本数を持って行きませんが(多くても10本程度)、エスクリム99Fはほとんどのシーンで持っていきます。
オールシーズン使える直球ど真ん中な良いルアーだと思います。
と、この記事をダラダラ下書きしている最中に、お知り合いのTJA_11さんが先行してエスクリム99Fのインプレをアップしていたので、そちらも参考にすると良いかもです。
むしろ使い方に関しては、TJA_11さんのインプレの方が役に立つかと思います。
なので、当ブログでは当ブログらしい目線でエスクリム99Fのインプレッションを書き連ねてみたいと思います。

シマノ エスクリム99F(公式サイト)
今回取り上げるのはシマノ エスクリム99F。
当ブログでも度々釣果報告に登場する信頼と実績の高いルアーです。
エスクリムのインプレをする前に、シマノのルアーの技術について私なりに解説してみます。
AR-C重心移動システム

シマノのサイトより画像引用
まずシマノのルアーと言えば、AR-C重心移動システム。
シーバスルアーは飛距離を重視する傾向が強く、ルアーの飛距離を出す上で重要なのはキャスト時のルアーの飛行姿勢。
ミノーのような形状のルアーで理想的な飛行姿勢は、空気抵抗が最小限で済むようにお尻の方が前になって飛んで行く事。
お尻の方が前になっての飛行姿勢というのは、ルアーの重心がお尻の方に偏っている必要があります。
しかしミノーのような形状のルアーが泳ぐには、重心は出来る限り前(顔のあたり)というのが望ましい。
重心が前にある時の飛行姿勢は、空気抵抗によってルアーが回転してしまう=空気抵抗が強くなり飛ばない。
ということで生まれたのが重心移動システムです。
キャスト時はオモリがお尻方向に移動することにより飛行姿勢が安定し、着水後にオモリが前方向に移動して泳ぐようになる。
この重心移動システムにより、ルアーの飛距離はぐーーーーんと伸びました。
そして重心移動システムに革命的なナイスアイデアを組み込んだのがシマノのAR-C重心移動システムです。
今までの重心移動システムは、オモリとなる鉄やタングステンなどの球をコロコロ転がして重心移動を行っていました。
この場合、ルアーによっては着水時にトゥイッチやジャークなどロッド操作を入れて、オモリを前方向にしっかり移動させる事が必要でした。
シマノはこの重心移動にバネを採用。
キャスト時は遠心力でバネが縮んでウェイトがお尻方向に移動、その後はバネの力で勝手にウェイトが前に戻り、着水直後から固定重心のような感覚で泳ぎ出す。
さらにオモリを円柱形状にすることで球状よりオモリの密度上がり、より泳ぎが良くなる。
機構としては簡単ですが、これを真っ先に実現したシマノにはあっぱれです。
AR-Cシェル

シマノのサイトより画像引用
次にエスクリム以降のシマノルアーに多く採用されている、XAR-C(クロスエアールシー)システム。
市販ルアーの多くはABSというプラスチック素材をボディに採用しています。
アクリルより衝撃に強い樹脂ですが、プラスチックには変わりなく若干重たい。
ルアーのボディというのは軽ければ軽いほどよく泳ぎます。
このボディ素材に発泡素材(空気の泡を含んだ素材)を用いたのがAR-Cシェルというもので、AR-CシェルとAR-C重心移動を組み合わせたのがXAR-Cというシステムです。
シマノのルアー開発者のエクスセンスブログによると、現在のAR-Cシェルは3世代目らしく、今回紹介するエスクリム99Fは初期なので1世代目です。
しかし1世代目でも、ABS樹脂と比べてボディ比重は20%ほど軽くなっているようなので、優秀な素材であると言えます。
余談ではありますが、私の自作ルアー含め、多くのハンドメイドルアーで使われているバルサなどの木材は、強度こそABSなどのプラスチックに勝てませんが、浮力(軽さ)では圧倒的に木材の方が優秀です。
その為、木材で作ったルアーをそのまま同じ形状でABSで作っても、同じ泳ぎにはなりません。
泳がなくなったり、木材ではフローティングだったのがABSだとシンキングになったりします。
ボディが軽いということは、それだけ泳ぎが良くなるという事で、ルアーにとって大変重要な事なのです。

前置き長くなりましたが、エスクリム99Fの個人的インプレッション。
まずシマノのルアーと言えば、真っ先に名前が上がるのがサイレントアサシンシリーズでしょう。
元祖ぶっ飛びミノーと言っても過言ではない程、非常に飛びます。
でも正直な所サイレントアサシンは飛ぶだけです。
泳ぎに関してはウォブンロールが激しく、少なくとも東京湾奥の海では高活性時以外では使い物にならないというのが私の意見です。
河川や磯、サーフなどではいいのかも…。
サイレントアサシンが結構ファットなボディ(最大横幅14.6mm)に対し、エスクリムはスリムなボディ形状(最大横幅11.2mm)です。
そして発泡シェルボディにより、レスポンスの高いキビキビした泳ぎを実現しています。
比較的ベイトサイズが小さい、東京湾奥の海ではエスクリム99Fは万能と言えるルアーだと思います。

使い方としてはアクションを掛けて食わせるより、スローに巻き続ける、巻いて止めて…巻いて止めて…みたいな使い方のが釣れます。
スローに巻いてもしっかり泳いでくれるため、流れが変わったところでのイレギュラーなアクションなどが入りやすく、この辺も発泡シェルならではのボディの軽さが影響している感が強いです。
狙い目のレンジは後述の改造Ver.なら15~40cmくらい、ノーマルのままなら40~70cmくらい。
ロッドを下げて巻けばさらに下のレンジも引けるため、浦安の海だとオールマイティに使えます。
昨今の変化球が多いルアーにおいて、直球ど真ん中のルアーと言っても過言ではないでしょう。

さて、私はシマノの回し者じゃないので、メリットばかり上げても仕方ありません。
デメリットも紹介しましょう。
まず設計ミスなんじゃないのかなぁ?AR-C重心移動のバネが強すぎです。
さらに発泡シェルのボディが軽いため風に弱いです。
キャスト飛行中に重心が戻ってる感が強く、風があるときは特にですが、ルアーが回転して失速しやすい。
そもそもエスクリム99Fは9gしかないため、飛距離はあまり期待出来ませんが(オフィシャルアベレージ46m)、それにしたって失速が激しい。
もうひと伸びがありません。
ボディは細身なのにリップは大きめで、わかりやすい泳ぎをしてくれますが、個人的には泳ぎすぎです。
もっと泳ぎを抑えて欲しい。
そしてリップが大きいため水受けが強く、リップ角度も鋭角で浅めのため案外潜ります。
「売る」ということを考えると、アングラーに泳ぎがしっかり伝わるくらいが必要なんでしょう。
でも東京湾奥の海で「釣る」と考えると、これではちょっと派手すぎる。

では浦安DIYシーバスならではとして、エスクリム99Fを改造をしてみましょう。
浦安はシャローゾーンが広いため、そんなに潜らせる必要はありません。
なので、台形型のリップを削っておわん型にし、泳ぎと潜りを抑制します。
この改造で30~80cm潜るデフォルト状態から、15~40cmくらいまでの水深で抑えられます。
泳ぎもロッドにバタバタ伝わる感覚から、ちょんちょんくらいのタイトな泳ぎに変わります。
ちょっと潜りすぎてゴロタに当たるとか、エリ10のスローにしか反応得られない。みたいなシーンで、この改造エスクリム99Fは強さを発揮します。
場面によっては最初から最後まで改造エスクリム99Fで良い。ということさえあります。
特にうねりがあるような場合、リップ付きミノーというのはきっちり水を噛んで泳ぐので、水面を割らずにルアーを引けます。
多少のバッドコンディションでも使いやすいのがミノーの利点です。

うんちくになりますが、潜行水深を抑制したいなら、リップの角度をなるべく垂直(鈍角)に近づけるのが一般的です。
画像の赤いラインの角度のようにすると、潜りづらくなります。
ただ市販ルアーでこの改造を行おうとすると、リップをがんばって削るか、エポキシを盛る必要があり、そこまでやるなら違うルアーを買った方がいいのではないかと。
エスクリムシャローに99mm以下が発売されたら、少なくとも浦安ならそっちがオススメ(;´∀`)

次の改造ポイントとして、フックサイズの変更。
エスクリム99FにはデフォルトでST-46の5号フックが使用されています。
これを1つ小さな6号フックに交換します。
4号、5号フックは大きいため、大型のシーバスに対してフッキングしやすい。という利点はありますが、東京湾奥のシーバスは一部河川や時期を除き、アベレージは45cmくらいです。
シーバスのサイズから考えても、6号フックくらいがベストだと思います。
6号フックだからといって、ランカーがフッキングしないわけでもありません。
また、上記でルアーは軽ければ軽いほどよく泳ぐと触れましたが、フックサイズも大きなウェイトを占めます。
お風呂などで試して見るとよくわかりますが、全く泳いでる感じがないルアーでも、フックを外すと信じられないほどブリブリ泳ぎます。
よりスローに巻いた時に泳がせたい場合、フックサイズを小さくするというのは簡単かつ理に適った改造なのです。
さらにフックサイズを小さくすることにより浮力が増し、より上のレンジを引きやすくなるというのもシャローゾーンが多い浦安周辺では利点です。

AR-C重心移動は確かに優れていますが、キャスト飛行中、着水の最後までウェイトがお尻に残っているというわけではありません。
サイレントアサシンやトライデントはバネ係数が弱いと見られ大丈夫ですが、エスクリム99Fのようにバネ係数が強いと見られるルアーは失速する事があります。
しかし固定重心のように使えるルアーというのは非常にお気軽で頼もしく、風が強く波立っていたり、ランガンしまくるような釣りではロッドアクションによるウェイトボールの移動を気にしなくて良いのは強みです。
低い弾道でラインスラッグを最小限に抑えてキャストすれば、着水直後から立ち上がり抜群のAR-Cの利点を活かし、リアクションバイトが出しやすいのも良いところです。
シマノのルアーは他社と比べると値段設定が若干高めですが、他社にはない技術が詰まっています。
使ったことがない方は是非一度お試しあれー。
【総括】
私が考えるエスクリム99Fのメリット
・細身&軽量ボディで泳ぎの波動が若干弱めの程よいアピール
・AR-Cシェルによる軽量ボディでゆっくり巻いても良い泳ぎ
・AR-C重心移動は固定重心のように扱えてお気楽便利
・良く釣れる
私が考えるエスクリム99Fのデメリット
・AR-C重心移動のバネが強く、重心の戻りが早いため失速しやすい
・値段がちょっと高い(;´∀`)
その他
・浦安の海で使うには、出来ればもうひと回り小さいサイズが欲しいところ
・ノーマル状態では案外潜る
・9gのミノーとしては飛ぶ部類だが、もうひと伸び欲しい
・9gと軽いので投げるならLロッドクラスがベスト。MLだとかなりスカスカなイメージ。
特にナイトゲームでは主力になる一軍ルアーですが、85mmくらいのダウンサイジングなサイズ展開もお願いしたい。
出来ればエスクリムシャロー85Fなんかで欲しいところ。
それでも20cmくらいのセイゴサイズもバシバシ食ってくるので、非常に頼りになるルアーです。
私は釣り場にあまりルアー本数を持って行きませんが(多くても10本程度)、エスクリム99Fはほとんどのシーンで持っていきます。
オールシーズン使える直球ど真ん中な良いルアーだと思います。