釣りとかけ離れてますが、FDM型3DプリンターのAdvenuter3で釣具も作っているということで!
FDM型3Dプリンターを使っていると、どうしても素材のフィラメントが吸水してしまっての印刷品質の低下が気になります。
そこでSUNLUのフィラメントドライヤーボックスというのを購入してみました。
これを自分なりに使い勝手よくするためのアレコレなログです。
Adventurer3は社外フィラメントを使う場合、本体に収納出来ないため外に出す形となります。
そこで本体に吊り下げる形のアタッチメントパーツを自作して1年以上使っていたんですが、どうにもフィラメントの角度がよろしくない。
フィラメントスプールの動きが良ければ角度が悪くても大丈夫かな?と、ベアリング付きのフィラメントスプールホルダーを自作するか購入するか検討。
購入しようとした場合1000円ちょっとくらい。うーんこれなら買ってもいいかなぁ?と検索していると、除湿剤を入れたドライヤーボックスを自作している記事がちょろちょろ目に留まります。
素材も高くないし自作するのも悪くないか…でもせっかくならちょっと温めて乾燥機能の向上を考えても良いのでは?と、aliexpressなどを見ていると市販のドライヤーボックスが5000円くらいでそんなに高くない。
おお、これなら買ってしまうか!とどれも対して変わらんだろうと安いSUNLUを購入。
SUNLUのドライヤーボックスは日本語マニュアルもついており、機能は温度調節と時間設定しかない簡素な感じ。
フィラメントの動きはベアリング付きの棒で支えるので、比較的スルスル動いて悪くない。
でもAdvenuter3で使おうとするとフィラメント入り口が高くて、角度的に結構きつい。
なのでCNCを使ってMDF削り出しで底上げの土台を作り、程よい高さに設置。
この土台の下にはスペースがあり、スクレーパーとかピンセット置き場に。
合わせてドライヤーボックスのフィラメント出口が単なる穴が空いてるだけなので、フィラメントが削れてしまう可能性が高い。
なのでPTFEチューブと3Dプリンターで作ったアタッチメントでガイドを製作。
最初は両面テープで止めていたが、剥がれちゃうので本体に穴開けてネジ止め。
せっかくの温度調節付きドライヤーボックスなので、温度と湿度が知りたい。
そこでXiaomiの温度湿度計を購入。
これをドライヤーボックス内に吸湿のシリカゲルと一緒に設置するためのマウンターを3Dプリンターで出力。
これでしばらく運用していると、この温湿度計を設置した上の方の温度が上がらない事が判明。
ヒーターの温度が低いのか?と思うもヒーターは普通に熱い。
熱が自然と上がる形だけの構造のため、風による循環がないのでドライヤーボックス内の温度に差が出てしまう模様。
そこでファンを自作してみたり、80角のファンを入れてみたり。
しかしボックス内のスペース的に普通のファンでは静圧が弱くて循環が行われづらい。
それでも多少は温湿度計の温度が上がるため、やはり風による循環を行えばドライヤーボックス内の温度の均一化が望めそう。
aliexpressでシロッコファンを購入し、除湿剤や温湿度計のマウント方法も変更。
ドライヤーボックス本体に穴を開けてネジ止めしたりで完成。
除湿剤マウンターはM2ネジ+外形2.5mm内径2mのステンレスパイプでヒンジを構成、さらに磁石とネジを使って止める形で、除湿剤を簡単に出し入れ出来るように。
シロッコファンは性能や騒音を考慮して5vタイプ。
設置場所周辺は12vを色々な機器で使えるようにしているが、電源タップがいっぱいで5v増設が厳しい。
そのため12v->5vへ降圧する基板をaliexpressで購入し、ドライヤーボックス土台にマウンターして5vをDCプラグで接続。
なお本体は24V 0.3Aのアダプタで来ているため、こいつから電源引っ張ってくれば完全に内蔵化も可能…なんだけど、本体下部のヒートパネルがかなりピーキーな配線で接続されており、取り外すのが困難。
だもんでシロッコファンの電源は外から引っ張る形にしました。
Xiaomiの温湿度計はBluetoothでスマホと接続することでログを追える。
左が最初に作ったマウンターでファンなしの状態。
除湿剤が温湿度計の真横にあって湿度はガッツリ下がるが、温度は35~36度くらいが頭打ち。
自作ファンを回すと温度が39度くらいになる事を確認済み。ただミニ四駆などで使っている130モーターでちょっとうるさく、内部にリチウムイオン14500を配置するので、安全面的に不安&バッテリー管理がめんどくさい。
右が完成形のマウンターでドライヤーボックス上部側面に温湿度計を配置、除湿剤はドライヤーボックス右上、シロッコファンは上部右側に配置。
温度は最終的に42度くらいまで上がり、湿度は30%くらいになる。
このグラフはテスト時のもの。
35度くらいはファンなし電源ON、38度くらいはファンの位置を調整中、42度くらいは最終的なファンの位置。
PC内のファン同様、エアフローがうまく行くセッティングが大事。
ファンを回す事によりボックス内の温度差を均一化することに成功。
この他の有効な対策としては、ドライヤーボックス外側を保温アルミシートで覆うようにするとアツアツにする事も可能。
実際の印刷品質はどうなの?となると、フィラメントによるところが結構大きい感じ。
既に劣化してしまったPLAフィラメントは、FlashForgeオフィシャルフィラメントでも微妙。
ここからは私の予測ですが、劣化したPLAをドライヤーボックス内で温めてエクストルーダーに通すと、フィラメントが通常より柔らかくなりすぎて、エクストルーダーのギアに噛みづらくなり、Adventurer3でよくある「コンコン」症状が悪化します。
逆に熱に強めなPETGフィラメントはコンコン症状がかなり緩和され、印刷品質も上がります。
SUNLUドライヤーボックス側でも温度設定が出来るので、PLAの場合は温度下げた方が良さそう。PETGは逆に50度設定で問題ない感じ。
総評としてはココまで改造すると満足度高いです。
改造なしだと「うーん、ちょっと満足度低いかなぁ」って感じ。
特に除湿剤を置ける場所がないのが致命的。ボックス底にばら撒いても良いとは思いますが。
改造がめんどくさいなら、最初からファンや除湿剤マウンターがついてるeSUNのドライヤーボックスの良いかもです。
その他、フィラメントの劣化を防ぐアイテムとして購入した真空パックが大変便利でした。
これは文句なしの満点と言えます。
これを買う前までジップロックを使っていましたが、ジップロックだと何度か出し入れしていると端っこから切れてしまうし、そもそも真空度が低いので使わないよりは良い程度でした。
この真空パックは素材が厚手で、しっかり使えば1ヶ月以上びっちびちに真空状態をキープしています。
ポンプでの吸い込みも慣れれば簡単で、何度出し入れしても端っこから切れる心配はありません。
フィラメントの吸湿による劣化が気になる人は絶対買うべき。
合わせて、除湿剤のシリカゲル。
たっぷり入っていて、吸湿の度合いが色でわかるため便利です。
私はダイソーのお茶パックに入れて、それをミシンで封をする形で使っています。
吸湿したら電子レンジで温めると除湿剤としての機能が復活するので、繰り返し使えます。
高いものでもないしオススメ。