自作ルアー回収機 すなどりくん2 二重反転プロペラ

2020年06月17日 22:00


ゼロベースからの「すなどりくん2」の開発をスタートしたというログを書いてから数ヶ月…。

 2020/02/29

試行錯誤しております。





前回のログの通りある程度形になったので、あれこれ機能追加パーツを作ったり…。





完成に至りました。
なんてあっさり書いていますが、もちろんアレコレ大変でしたよ。
中のシャフトにはスタンチューブ構造を取り入れてグリスで防水処理も加えています。
いざお風呂スイムテスト!

うーーーむ、ダメだなぁ…。

速度 ◯
防水 ◯
安定性 ✕
パワー △

すなどりくん1では木材削り出しの浮力体を機体上部に配置することにより重心バランスを取っていたけど、今回のver.では機体の主翼でバランスを取ろうという目論見。
しかしスクリューの回転モーメントをこの主翼でカバーする事は出来ず、機体がスクリューの回転方向にロールしてしまう。
また30mmのスクリューの負荷も大きく、ギア比を変えてトルクを上げているものの、モーターへの負荷が大きい。
今回はゼロベースでの設計で完成形を目指すためコレではダメ。





最大の問題は、スクリューの回転モーメントに引っ張られて機体がロールしてしまうことなので、回転モーメントを何らかの方法で相殺するしかない。
考えたのが、トルクチューン2モーターPROの貫通型シャフトを使って、両端に回転方向が違うスクリューを取り付けるツインドライブ方式。
これの問題はサイズ(特に横幅)が大きくなる、ギア組付けの関係上どうしてもボディ防水性能が落ちるor接着が必要、パーツ点数が多くなってコストと加工が大変などなど。
特にボディの防水性能が問題で、接着なら簡単だけどメンテナンス性が実質ゼロになっちゃうし…とモデリング中に自分のポリシーと加工限界に早くも到達。





色々調べていると二重反転プロペラという機構があることを知る。
2枚のプロペラが前後に並んでいて、それぞれの回転方向が逆で、前のプロペラが押し出した流れを後ろのプロペラが逆回転でさらに押し出してパワーアップさせるというもの。
流体力学では安定した渦が出来るみたいで、強力な静圧(トルクみたいなもの)を発生させられるという。

コレだ!と早速モデリング。
今回はギア比を変えてトルクをあげたいため、サイズを抑えてメインシャフトを回すには
 1.モーターからトルクを上げるギアチェンジ
 2.サイズを抑えるための軸あわせギアチェンジ
で2段階ギアを経由させる必要がある。
これでメインシャフトが回るから、クラウンギアを使って回転を反転させるギアに伝達。
本当はアポロチョコみたいなベベルギアが良さそうだけど、コスト的にこの形で。





3Dプリンターを使ってギアボックスを印刷。
ギアはaliexpressやタミヤのギア。
シャフトは2mmステンレス棒、シャフトを支えているのは2.5mm、2.8mmステンレスパイプ。
ギアボックスは前後に分かれていて、これをM2ネジ使って連結。
これらのパーツを揃えるのに春節や新型コロナの問題があって2ヶ月近くかかりました…。





コレを作るのが超大変。
3Dプリンターの精度限界で、0.05mmでもズレると回転が渋くなるので、卓上フライス使ってアレコレ修正しまくり。
さらにシャフトを受け止めるステンレスパイプの精度を出すのがめっちゃくちゃ大変で、しんどいにもほどがある(;´Д`)
もう作りたくないよぉ…と涙目になりながらなんとか動くところまで持ってきた。




なんとか動作確認まで。
同一の軸で回転方向が逆というのが二重反転プロペラで、作るのがすっげー難しい。




Fusion360のジョイント機能を使って、どんな感じに動いているか動画にしてみました。
こっちの方がわかりやすいかな。





合わせてボディもモデリング。





今回、二重反転になったことにより、スタンチューブの構造も変わります。
スクリューに回転を伝達させるシャフトが二重構造となるため、スタンチューブ自体も二重構造になります。
外側のスタンチューブ(画像の太めの赤色の部分)は最初のロールしてしまうver.で防水性能は確認出来ましたが、内側のスタンチューブがとてもピーキー。
外径2.5mm、内径2.0mmの内径を2.1mmに拡張した(削った)ステンレスパイプに、2mmのステンレス棒を通してシャフトとしていますが、これではグリスが溜まる部分がほとんどない。
そこで外径2.8mm、内径2.5mmのステンレスパイプを途中で繋いで、内側に0.5mm分の隙間を作ってグリス溜まりを作ります。
メインシャフト上下の細い赤色の部分が、この径の違うステンレスパイプを繋いだことによって出来たスタンチューブのグリス溜まり。





これの問題は外径2.5mmと2.8mmのステンレスチューブを接着固定させる必要があり、この接着剤をどうするか…。
色々考えてステンレス用フラックスとハンダを使って、ハンダ付けでテストしてみることに。
なかなか難しかったけど無事接着出来ました。
強度も思ったよりかなり出ています。





ギアボックスをなるべく精度が出る設計に変更。
このギアボックスは一体成型のモノコック構造と言っても良いので、ギアの組み込みがめちゃくちゃ大変。
でも剛性と精度が上がったので、回転性能は前回から大幅アップ。





チェック用にボディの一部をブーリアン演算で切り取り、3Dプリンターで出力。
ギアボックスを組み込んで動作確認。
グリスやオイル、スタンチューブなどは一切ない状態での回転は悪くない感じ。




スローモーション撮影したのでボケボケですが、二重反転プロペラ確認用ボディに入れての動作動画。
これを動かすのにかなりの時間と労力が必要だったため、テストボディとは言え、こうやってリアルに動くところまで持ってこられると感動モノです。




今回はここまで。
中身の構造のお話メインでしたが、次回は実際のテストまで行ければ良いなー。


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